雇われ代表者が取引先との関係悪化によって破産に追い込まれた事例(人材派遣業)

この記事を読むのに必要な時間は約2分50秒です。

業種 人材派遣業

規模 人員 30名

負債総額 3億円以上,会社設立約30年前

Contents

事例内容

本件会社は,設立しているオーナーと代表者(当事務所への依頼者)が違う例,いわゆる雇われ代表者の事例である。

オーナー側にも代表者側にもそれぞれ言い分はあったものの,オーナー側の行いに違法と評価できる部分が散見され,また代表者(依頼者)の話によると,オーナーは元ヤクザの組員である可能性がある方ということであった。

業務内容は人材派遣営業で,主に製造業(機械部品組立工場)に派遣をしていたが,リーマンショックや東日本大震災の影響,そして若者の車離れにより,派遣先の業務のボリュームが下がり,派遣のニーズ自体も徐々に縮小していく傾向にあった。

さらに,人材派遣営業の改正で,本件会社の営業基盤では人材派遣の営業免許がもうすぐ剥奪されてしまうという状況であった。そのため,なんとか営業規模を安定化させ,引き続き免許を得ようとしたが,不可能になり倒産に至った。なお代表者個人は全額連帯保証していた。

ポイント 

①そもそも雇われ代表者であっても破産を申し立てるのは経営陣であるから,破産の申し立てはできる。しかしながら,雇われである以上,申し立ての前にオーナー即ち株主から解任されたらば終わりである。
今回の事案は,オーナー側の言い分も一理あるのもあったが,反面問題がある言い分も多く,また,お会いすると筋の通った立派な部分もあるが確かに高圧的なところもあり,それを丁寧に説き伏せ,破産に対して妨害をしないように話を進めていった。

②また,別件でも記載しているように,人材派遣営業や人材採用代行業は,やはり依存先が絞られてしまうと危険というのが本件でも明らかになったし,また同じように別に記載してある介護事業と共通する点であるが,国の営業許可に基づく業種の場合,仮にお金が回っても,営業許可上の問題で経営が保たれない場合があり,法,裁判例の動向に対する注意はいつも必要である。

③本件においては,代表者個人が非常に健康状態が悪く,当事務所が介入後,手術費がどうしても必要になった。しかしながら,本人はまったく無収入・無資産となってしまい,会社のお金を理由なく使うことができない。
しかしながらこの点,破産管財人にいろいろお願いをし,管財人の寛大な御厚意から,閉店後破産申し立てまでの役員報酬が未払いであったことに注目をしていただき,それの対価として手術費の捻出を認めてもらった。(いつもそのような処理が出来る訳ではないが,情の通ずる時もある。)

そのため代表者は前述のようにオーナーとさまざまな対立がありながら,不安も抱えながらも、なんとか申し立てに辿り着けた次第である。

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