自己破産について
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自己破産
自己破産とは、破産の手続きをすることにより今までの借金を全てなくすことができる制度です。大きな財産は失います(財産が破れる)が生活必需品は残ります。法人と個人の破産では、共通点も多いですが根本的な違いもあります。
自己破産というと非常に悪いイメージをお持ちの方が多いですが、債務超過で苦しんでいる人に対し、再び立ち直るチャンスを与えるために国が作った制度であり、一般的に持たれているイメージほど不利益があるわけではありません。 10年程度はローンやクレジットを利用することはできませんが、戸籍に残ること、選挙権がなくなること、銀行口座がもてなくなること、キャッシュカードがつくれなくなること、どれもそんなことはありません。
ただし、自己破産によりこれまでの借金が帳消しになるわけですから、いくつかデメリットもあります。
自己破産のメリット・デメリット
自己破産のメリット
支払い義務がなくなる
自己破産を行い免責が確定すれば、借金が帳消しになり、支払いの義務がなくなります。会社の倒産によって連帯保証人の社長にも支払いの義務が発生しますが、自己破産をすればその義務もなくなります。もうお金のことに悩まない新しい生活へと進んでいくことができるのです。
ほとんどの人は、破産をすると憑き物がとれたかのような表情をします。
支払いの一時停止
破産の申し立てを行えば、支払いが一時ストップします。返済の期日がきても支払う必要がなくなるのです。
取り立て行為が止まる
債権者などからの借金返済に関する督促電話がなくなります。
自己破産のデメリット
ブラックリストに載る
いわゆるブラックリストに載ってしまうと、約10年間はキャッシング会社からの借り入れができなくなったり、ローンが組めなくなったり、新しいクレジットカードが作りにくくなったりします。しかし、これは却って正しい生活を取り戻す一歩ともいえます。
職業・資格の一時停止
破産をすると一部の職業にはつけなくなったり、資格停止処分となります。例えば、一部の士業・保険勧誘や証券社外務員、警備員などの第三者の財産に関与する仕事などです。また、保証人や後見人等にもなれません。ただし、破産手続が終了し、免責(借金がチャラになること)がおりた段階で解除されます。
官報に記載される
官報とは、政府発行の新聞のようなものです。そこに破産した人の情報が記載されます。普通は、一般の人の目にとまることはありませんが、ヤミ金業者などは官報をチェックしDMなどを送ってくることがあります。一度破産すると7年後までは破産できませんので、ヤミ金業者にとっては絶好のターゲットとなるのです。
自己破産は、人生の敗北者であるかのように一般的にはあまり良いイメージを持っている人はいませんが、人生をやり直すことのできる「人生再スタート」の制度であると言えます。弊事務所でも、公務員やサラリーマンのかなりの地位にいる方、数十人規模の事業者などの破産は日常的に目にしますが、いずれも後悔した方はいらっしゃいません。
自己破産を選択する人も、決して卑屈にならず、「人生はやり直せる。その良い機会である。」と積極的に考えてください。事業の失敗、どうしても避けられない出費のために借金が膨らんでいった場合の「救済の道」と言えるのです。

大江戸下町法律事務所

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