出資金をめぐるトラブルで破産に至った事例
〇この記事を読むのに必要な時間は約1分25秒です。
業種 特殊資材の研究開発販売
規模 人員 1名(社長のみ)
資本金 300万円
負債 債権者10名程度 1500万円
本件は,代表者が情熱と能力が溢れた人だった。すなわち日本の都心部の防火耐火の弱さの現状,あるいは従前の防火耐火資材や塗料の問題点等を何とか解決しようし,長年それらの開発販売をしてきた人であった。
資材や塗料については,東大教授も協力した上で開発され,一時は,補助金も間接的ながら交付されているほどの性能であった。
しかしながら,残念なことに能力が良く,製品も良いことと,販売するという営業ノウハウがあるか,とは,どうしても別物であり,販売網が非常に弱く,単純に売り上げが上がらないという状態だった。そして,長年の開発費用や経費が累積して負債になってしまった。
結果,販路拡大のため,他社の出資を受けたものの,経営方針でもめてしまい,出資を返上した。
出資は,かなりもめやすい。本来の出資は,「出しっ放し」であるが,現実には「貸金」と思っている人が多い。そのため,取り決めをしっかりしておかないと,「返せ」「もらったものだ」と紛争の元になりかねないのである。
追記
破産が終わった後も代表者は研究をこれからも続けていくということで,法律的な話とは関係ないが,世の中のためにもいつか花開いてくれることを祈る次第である。
The following two tabs change content below.

大江戸下町法律事務所
今、皆様は、作り上げ、或いは承継した会社をどうするか、悩んでおられるはずです。
会社そのものだけでなく、従業員、仕入先、得意先への想いもよぎるでしょう。会社を破産させるか否か、迷うと思います。
しかし、ここで、解決を先延ばしにして「逃げて」も、余計に迷惑をかけるだけです。会社を起業や承継をしたときに「逃げなかった」ように、再び、会社破産を「逃げずに決断」してください。それが、皆様と同じ、経営者としての、私からの願いです。
|当事務所の弁護士紹介はこちら

最新記事 by 大江戸下町法律事務所 (全て見る)
- 特定の取引先に依存した法人の破産 - 2020年5月10日
- 丁寧な従業員説明会を行うことでトラブルを未然に防止した事例 - 2020年5月1日
- 代表者が海外に居住する特殊な事例 - 2020年4月28日